梅原猛の授業 道徳

梅原猛の授業 道徳
梅原猛,朝日新聞社,2003

梅原猛の授業 道徳

日本人の道徳心が崩壊しつつある現状を憂い,道徳の必要性を説く.道徳と宗教とを切り離して考えるのは難しい.本書でも,仏教をはじめ,神道,キリスト教,イスラム教などの戒律などと関連づけながら,道徳について話を進めている.日本では,儒教の影響を強く受けた道徳が江戸時代以降も国民の意識に根差していた.しかし,明治以降,天皇を神とする新興宗教が絶対とされ,さらに敗戦後,その宗教が悪であるとされたため,日本人は道徳の指針を失った.現在は道徳が衰退しつつつあり,このままでは日本は醜い国となってしまうだろう.著者は,道徳の根源を愛に,特に母の子に対する愛に求める.母の子に対する愛は,人間だけが持つものではない.動物も持っている.このため,道徳とは人間だけのものではなく,動物にもあるのだと説く.本書は,人を殺してはいけない,嘘をついてはいけない,盗みをしてはいけない,という3つの戒律について述べ,さらに,人生をよりよく生きるために身に付けるべき徳として,努力,創造,愛,信,感謝,哀れみの6つを挙げている.

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