近年,中国が世界の工場かつ市場として注目を集めているが,著者はインドに注目する.いまだに貧困層の多いインドではあるが,既に情報技術(IT)大国として確固たる基盤を築き,国際的にソフトウェア開発の拠点となっている.それを支える人材と国産技術の育成に,独立以来,国家が莫大な投資を行ってきた.本書では,大成功を収めたインドのIT企業を紹介すると共に,インドと関わろうとする日本企業の姿を描いている.内容はIT産業に限定されているが,本書を通して,インドの潜在能力の高さを知ることができよう.
日本も科学技術立国などということを言っている.しかし,既に韓国や台湾などに対して優位性があるのか疑わしい面があり,さらに長期的には,インドが科学技術立国として台頭してくるだろう.人材育成政策の差が,徐々に,しかし確実に,影響を及ぼすに違いない.
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