哲学の謎

哲学の謎
野矢茂樹,講談社,1996

哲学の謎

哲学がこれまでに取り扱ってきた謎を,対話形式で示している.謎には必ずしも答えが用意されているわけではなく,謎の存在に気付かずに生きていくこともできる.それほど,身近でかつ途方もなく困惑させられる謎に我々は包まれて生きている.あなたに意識があるとしても,他の人が単なるロボットではないと言い切れるだろうか.あなたが赤色と呼ぶ色は他人にもとっても同じ色だろうか.「あなたが赤色と呼ぶ色」は,ある人には「あなたが青色と呼ぶ色」として見えているかもしれない.その人は,「あなたが青色と呼ぶ色」を赤色と呼ぶ.これでも何の問題もなく,日常生活を送ることができる.あなたは自由だろうか.自分の意志で何かをすることができるだろうか.枯れ葉が落ちるのと同じく,自然の法則に従っているだけで,意志などないのではないだろうか.我々が単なるモノでないことを証明できるだろうか.

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