幼稚園や保育園での教育方法について書かれた本である.その教育方法はピアジェ博士の理論に基づくものであり,子供の発達段階に応じた適切な教育を行おうというものである.ピアジェは子供の発達段階を
- 感覚運動期 (0〜2歳)
- 前操作期 (2〜6歳)
- 具体的操作期 (6〜12歳)
- 形式的操作期 (12歳以上)
に分類し,それぞれの時期の特徴を明らかにしている.本書では,ピエジェ理論(発達段階の体系)を実際の幼児教育に活かすために考案された教材や教育方法が紹介されている.
本書の中で,伊東氏はピアジェ理論について次のように述べている.
教師が子供に教える,暗記させるような詰め込み教育はピアジェ理論に沿いません.あくまでも子供が主体であり,教師は援助する立場で子供の自主性,創造性をはぐくむことがピアジェ理論です.
子供の発達段階に応じた教育としては,シュタイナー教育も有名である.7歳までは知的なことを教えないというシュタイナー教育に比べると,ピアジェ理論に基づく教育の方が違和感のない人が多いかもしれない.
なお,最初に述べたとおり,幼稚園や保育園での教育方法について書かれた本であるため,家庭での育児に直接的には役立たないだろう.しかし,幼稚園選びの参考にはなる.あと,残念なことに,斎藤女史の文章などかなり読みづらい部分もあった. |