日月神示 ミロクの世の到来

日月神示 ミロクの世の到来
中矢伸一,徳間書店,2007

日月神示(ひつきしんじ)とは,岡本天明氏(1897–1963年)に神霊より降ろされたとされる神示である.永らくほとんど知られることがなかったが,1990年代に入って,本書著者の著作等により広く知られるようになってきた.日月神示には,天変地異を含む世界的な大激変の後,「ミロクの世」(地上の天国)が実現されるとある.そして,人間が取るべき行動が示されている.これが予備知識.

さて,本書は「日月神示」そのものの解説が主ではない.もちろん,あちらこちらで日月神示が登場するのだが,そこに示されている「ミロクの世」における人間社会の体制(政治・経済システム)とはどのようなものであるか,その理想的な体制へ移行していくために,どのような体制を経ていくべきかということが書かれている.もちろん,現在の資本主義が崩壊して消え去ることは大前提で,疑う余地すらない.資本主義後の社会システムとして,本書に詳しく紹介されているのは,サーカー氏が提唱した「プラウト」思想に基づくものである.まあ,サーカー氏よりもむしろ,その弟子であるラビ・バトラ教授の方が有名だろう.実際,本書でも,ラビ・バトラ氏による予言に多くの紙面を割いている.そのプラウトでは,道徳的に優れた指導者を有する協同組合的な地域社会の集合体としての人間社会を描いている.

ラビ・バトラ氏はかねてより2010年までに資本主義は崩壊すると警告しているが,その底流にあるのは,「歴史は繰り返す」という事実に基づく文明論である.武力,知力,財力が順に支配力を持つというのがその考え方であり,資本主義の現在は勿論,財力の時代である.この富が支配力を持つ時代は近々終焉し,次は武力が支配力を持つ時代になる.つまり,戦争の危険性は極めて高いと言える.また,本書では,プラウト理論による社会周期説とは別に,村山氏の800年周期説も紹介されている.村山氏によると,13〜20世紀はルネッサンスから現代に至るヨーロッパ文明の時代,5〜12世紀はアジア極東文明の時代,前4〜4世紀はギリシヤ文明・ローマ帝国文明の時代というように,人類の文明は800年周期で浮き沈みを繰り返すバイオリズムを持っている.そして,21世紀はちょうど次のサイクルに突入する激変の世紀となり,東西文明の興亡が交代する.この文明の交代時期には世界的な動乱が起こるとされる.

日月神示には明確な時期は示されていないそうだが,プラウト理論や800年周期説ばかりでなく,マヤ文明の暦が2012年で終わることなども含めて,近々人類にとって甚大な影響を持つ出来事が起こるということで予言は一致している.アセンションと言われる次元上昇も2012年だそうだ.

では,そのような追い詰められた状況にあって,どうすべきかなのか.その指針を与えるのが,日月神示だというわけだ.基本的には,考え方と生活を改めろということに尽きる.今のままでは地球も人類ももたないことぐらい,誰でも分かっているだろう.分かっていても何もしなければ意味がない.日月神示は行動することを求める.

まあ,こういう話を信じる信じないは別として,日本人の精神が退廃しきっている現在,心ある個人はどうすべきなのかについて,1つの指針を与えてくれることは確かだろう.

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