この本から私が得た知識は,1)さおだけ屋は金物屋の副業だった(商品配達のついで),2)流行っていない高級フランス料理店は料理教室やワイン教室で稼いでいる,という2点だ.「ん〜,なるほど.そうだったのか〜!」と感心した.
だが,これだけのことなら,1頁で十分だ.1冊はいらない.
この本のターゲットは,著者が述べている通り,全くお金のことを知らずに生きてきた人だ.既に財務諸表が読めたり,株式投資のためにファンダメンタルズ分析を勉強したような人であれば,新たに得る知識はほとんどなく,せいぜい上記2点ぐらいのものだろう.
したがって,誰にでも勧めるような本ではない.いい歳をした大人なら,読まなくても良いのが普通で,この程度の内容も知らないのは恥ずかしいことではないだろうか.
それにしても,「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」というのは素晴らしいタイトルだ.思わず手に取りたくなってしまう.加えて,このように平易に文章を書ける著者の能力は大したものだと思う.そういう観点で,私としても一読の価値はあった.
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