本書を読んで痛感したのは,私はまるで確率(特にベイズルール,事前確率とか事後確率とかだと思う)を理解していないということだ.「だと思う」と書いたのは,本当に理解していないので,自分が何をわかっていないのかすらわかっていないからだ.最悪だ... とにかく,本書に登場する問題を見てみよう.ただし,問題は簡略化してある.
これらの他にも多くの問題が紹介されているのだが,私の解答は惨憺たるものだった.ただし,確率に関する問題に対して散々な結果だったものの,論理に関する問題や,他人の行動を推量して判断する問題はクリアした. さて,このような問題に瞬時に解答し,しかも全問正答するような人がどれほどいるだろうか.そんな人間離れした超合理的人間は「経済人」(ホモ・エ コノミカス)と呼ばれるが,実は,これこそが標準的な経済学が前提としている人間像だ.我々はみんな完璧に合理的で個人的利益を徹底追求し,間違いを犯す ことは勿論,感情で判断や行動が鈍ることなど決してない.この前提の下に,経済学は構築され,政策決定などに利用されている.全く恐ろしい話だ... そのような経済学に反旗を翻し,人間は必ずしも完璧ではなく,その判断や行動は感情に大きく左右されることを認めようとするのが「行動経済学」だ. 本書は,これまでの数多くの研究成果を紹介しつつ,行動経済学の必要性を説く入門書だ.行動経済学では,心理学が重要な役割を担う. 非常に面白い本だった.経済学に興味がない人も読んでみる価値があると思う.自分も含めて,人間の判断がどれほど好い加減かを思い知らせてくれる.情報操作に対する防御能力も高まるかもしれない. さて,紹介した問題の解答だが,別に書くとしよう.まずは,自力で答えて欲しい. |