スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法
Duncan J. Watts,阪急コミュニケーションズ,2004

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法

知人の知人は他人だが,知人を通して,知人の知人と知人になる可能性は高い.では,世界中のあらゆる人に到達するには,何人の知人を介さなければならないだろうか.この問いに答えるため,実際に実験した人がいる.その結果,6人との結果が得られた.たった6人の知人を辿るだけで,あなたも私も,米国大統領はもちろん,世界中の名もなき人々と繋がるわけだ.つまり,世界は小さい(スモールワールド).

本書は,ネットワークの科学について解説したものである.個々の要素がどのような特徴を持ち,どのように繋がっているとき,ネットワーク全体はどのように振る舞うのか.これが問いである.この問いに答えることができれば,伝染病が広まる理由,ある商品は大流行し,ある商品は全く見向きもされない理由,バブルが発生する理由などが明らかとなる.

すべてはネットワークの特性によるのであり,要素の繋がりが疎か密かによって,ある現象がネットワーク全体に広がるか,一時的かつ局所的な現象にとどまるかが決まる.興味深いのは,ネットワークが密になり過ぎると,現象がネットワーク全体へ爆発的に広がることはないという点である.ハリー・ポッターが爆発的に売れたのも,全く見向きもされない本があるのも,いくつかの偶然とネットワークの特性によるのである.

難しい数式を一切利用せずに,バブル経済や伝染病やハリー・ポッターなどを例に,素人にも興味が持てるように書かれた本である.読みにくい部分もあるが,興味深いネットワークの科学に触れるのに適した書籍といえる.

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