育児書であるが,特に母親の重要性を強調している.およそ3歳までの子供は,何でも吸収してしまう素晴らしい能力を持っており,この時期に,できるだけ良い刺激を与えなければならないというのが本書の主張である.良い刺激には,音楽,自然,絵画はもちろん,外国語なども含まれる.とにかく本物の刺激を与えることが重要で,乳幼児向けにアレンジされたものを与える必要はない.中でも重要な刺激は,しつけである.この乳幼児期に正しくしつけられずに甘やかされて育った子供が,将来道徳観の優れた自立した成人になるとどうして言えるだろうか.乳幼児には理屈が分からないから,というのは理由にならない.乳幼児期に理解させる必要はなく,体に染み込ませることが大切だ.常に乳幼児に良い刺激を与えることができるのは母親だけであり,この時期の母親の態度次第で,子供の将来が決まると言っても過言ではない.
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