子どもの話にどんな返事をしてますか? ―親がこう答えれば、子どもは自分で考えはじめる

子どもの話にどんな返事をしてますか? ―親がこう答えれば、子どもは自分で考えはじめる
ハイム・G・ギノット,草思社,2005

子どもの話にどんな返事をしてますか? ―親がこう答えれば、子どもは自分で考えはじめる

「子供達と関わるために,親は特別なコミュニケーション・スキル(技術)を身に付けなければならない.」

これが著者のメッセージだ.そのコミュニケーション・スキルの核心は,以下のようにまとめられるだろう.

「子供の感情は何であれ受け入れ,行動だけを規制する.」

子供は喜怒哀楽といった様々な感情を抱く.これは人間として自然なことであり,子供がどのような感情を抱いたとしても,その感情を否定する必要はないし,否定してはならない.親の役目は,子供の感情に共感してやることである.たとえ,どのような感情であったとしても.

その上で,倫理的に,道徳的に,人間として許されない行動のみを規制するのが親の責務である.規制するといっても,感情に任せて声を荒げて怒ったり,体罰を加えたりするのいではない.

「静かにしなさい!」と言って大声をあげる.「赤ちゃんを叩かない!」とか「ヒトを叩いちゃダメでしょ!」とか言って子供を叩く.このような行為が自己矛盾であることは容易に想像が付くだろう.そのような行為は子供を混乱させ,不信に陥らせるだけだ.

まずは,そのような行動をする子供の心・感情を察してあげよう.そして,その感情に共感してあげよう.その上で,してはいけない行動に対して,親が不快に思っていること,怒っていることを言葉で伝えよう.

許されない行動を許すのは単なる「甘やかし」である.これは良い子育てとは言えない.一方,子供が抱くあらゆる感情を受け入れ,共感してやることは「寛容」である.

甘やかしではなく,寛容な子育てを実践するために,本書は大変参考になる.様々な場面での親子のコミュニケーションについて,良い例も悪い例も具体的に紹介されており,自分の子育てを見直すきっかけを与えてくれるだろう.

子育てについて真剣に考えている親たちに,是非読んで欲しいお薦めの育児書だ.世界中でベストセラーになるのも頷ける.

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