大学卒業までに必要な「子どもにかかる」お金―親の時代とは大違い!

大学卒業までに必要な「子どもにかかる」お金―親の時代とは大違い!
山田静江監修,オレンジページ,2007

「子どもの教育にどれくらいの費用がかかるのか?」という,家計を考える上で大切な質問に答えてくれる本.100頁程度で,大きなグラフや絵がふんだんに使われているので,あっという間に読める.学校で必要な費用だけでなく,塾や習い事に必要な費用についても,具体例と共に示してくれているので,参考になるだろう.

小学校から私立に入学させる家庭も増えてきているが,入学金や授業料が公立よりも高いだけでなく,付き合うことになる家庭が裕福であるため,会食や誕生会など,何かにつけて出費がかさむことになる.このため,甘い見込みで,調子に乗って私立に行かすことのないようにと,本書では繰り返し警告している.親の収入がそれほど変わらないとしても,資産家の祖父母が支援していることなどもあるので,そういうあてのない人は,くれぐれも注意することだ.また,習い事についても,いわゆる月謝以外の支出をチェックしておく必要がある.

進学校や塾に行かないとトップレベルの大学に行けないほど,うちの子供の頭は悪くないと,自分に言い聞かせるのもいいだろう.

なお,本書には,「では,どうするか?」ということは,あまり書かれていない.節約する,奨学金を利用する,教育ローンは最後の手段である,などに加えて,積立で教育資金を準備する場合,どの程度の積立金が必要になるかを示しているぐらいだ.しかし,デフレ下の日本において,入学金と授業料はハイパーインフレ状態になっており,凄まじい勢いで上昇している.このため,本書に書かれている教育費用を10年以上先に準備できたとしても,その時点では,全く足りないという事態に陥るだろう.今後,日本もインフレを享受できるようになるなら尚更だ.その対策は講じておかないと,痛い目にあうことになる.私としては,むしろ指摘すべきは,この点だと思うのだが...

まあ,人様の心配をする前に,自分の心配をしないといけない.

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