理想の日本人

理想の日本人
濤川栄太,中経出版,2007

安岡正篤氏の「青年の大成―青年は是の如く」と「人生と陽明学」を借りるために図書館に行ったところ,たまたま,「内村鑑三が『代表的日本人』を世に出してからちょうど100年」というキャッチと,真っ赤な装丁に目がとまって借りてきた.目にとまったのも何かの縁と,降雪のために利用した公共交通機関内で読んだ.

「世界連邦」とか「人類のユートピア実現」というのは大風呂敷で,大言壮語の感が免れず,ちょっと引いてしまうというのが正直なところだ.しかし,昔から外国人に畏敬の念を抱かせてきた気高い精神性が日本人から消え去り,精神的頽廃の極に達するかの感がある現代において,幾多の傑出した人材に恵まれた母国の歴史を紐解き,理想の日本人の姿を描いてみるという試みは意義深いと感じる.

単に有名ということではなく,人間性に優れた人物が数多く紹介されているので,本書でその生き様に触れ,興味を持った人物についてさらに学びを深めていくというのも良いのではないだろうか.

本書では,アインシュタインやトインビーの言葉を借りて,世界平和に対する日本の特別な役割を示唆しているが,その他にも「文明の衝突」のサミュエル・ハンチントンなど,枚挙に暇はないだろう.スピリチュアル系でもそうだとされているらしい.足りないのは,日本人の自覚か.

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