本は10冊同時に読め!―生き方に差がつく「超並列」読書術 本を読まない人はサルである!

本は10冊同時に読め!―生き方に差がつく「超並列」読書術 本を読まない人はサルである!
成毛眞,三笠書房,2008

元マイクロソフトジャパン社長であり,読書家として知られる成毛氏が,自身の読書についての想いをぶちまけた本である.副題の通り,本を読まない人は人にあらずという姿勢であり,人生を豊かなものとするために,たくさんの本を読めと檄を飛ばす.

一生奴隷のように会社に尽くしてどうするんだ?,負け組に転落していく人生でいいのか?,庶民と同じことをしていても庶民からは抜け出せない,人と違うことをしろ,本を読んで差を付けろ,という主張だ.ただし,ただ読めばいいのではない.

重要なのは「どのように読むか?」である.本書は,様々なジャンルの本を同時に読むことを勧めている.通勤中に,トイレで,寝室で,少しの時間を見付けては,別々の本を読む.様々なジャンルの本を同時に読むことで,いい発想ができるというわけだ.自分の仕事に関係する本,専門分野の本だけ読んでいてもダメである.さらに,読書メモを取るな,蛍光ペンでマークするな,3色ペンを使うなんて言語道断という.

もちろん,「何を読むか?」も重要であり,庶民が読むベストセラーや成功本なんて読むだけ無駄,教科書に出てくるような文学作品も読むだけ無駄,等々,持論が展開されている.本書では,そんな成毛氏が薦める本も紹介されているので,参考にするのも良いだろう.

「本を読め!」というのは全く同感である.成毛氏は,本を読まないような人とは話す気にもならないし,付き合う必要もないという.まあ,そこまで言わなくてもという気もするが,実際,本を読んでいないような人は底が浅いのも確かだろう.一芸に秀でているならともかく,普通の人で,本も読まないというのでは,どうしようもない.

ちなみに,ショウペンハウエルは,その著作「読書について」の中で,「読書とは他人の考えた過程を辿る行為に過ぎず,多読する勤勉な人間は,次第に自分で考える力を失う」とも言っている.単に読むのではなく,読み方も大切だ.

寸暇を惜しんで読書すべしというのも,その通りだ.私は本書を今日読んだのだが,通勤に自家用車を使えなかったので,往復のバスと電車の中で読んだ.私は本を読むのが猛烈に遅い方だが,こういう軽い文庫本なら1日1冊は読めるということだ.特に時間を割くことなしに.バスや電車で携帯をピコピコ操っている人達と読書する人達.その人生が同じはずもないだろう.

短い人生を良く生きるために,時間は最も大切にしなければならない.この点を強調しているのがセネカだ.その著作「人生の短さについて」において,「自分の銭を分けてやりたがる者は見当たらないが,生活となると誰も彼もが,なんと多くの人々に分け与えていることか.財産を守ることはケチであっても,時間を投げ捨てる段になると,貪欲であることが唯一の美徳である場合なのに,たちまちにして,最大の浪費家と変わる.」とセネカは指摘している.

さあ,ますます本を読むこととしよう!

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